長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

あれから8年

 その時の事を思い出す。名古屋高速道路を降りたところで車載テレビから緊急地震速報が流れた。ビルの中から多くの人が飛び出してきたのを今でも鮮明に覚えている。

 会議会場のロビーのテレビで津波仙台空港をを襲う場面を食い入るようにみた。これはただ事ではないと思い、金沢に取って返した。二週間後に現地に入り、私たちの与えられた立場の中で何を求められ、そして何ができるかを考えた。
 考えた事業に対して様々な意見はあった。しかし、大切な事は今できる必要な事を実行するにはどうすれば良いかを考える事だった。あれから8年の歳月が流れた。

 この時期になるとあの時の事を思い出す。過去の時間軸から未来を見たとき、それが不確実である事は確かだが、未来を信じ、覚悟を持って望めば思い描いた未来に近ずく。当時、未来だった現在から当時現在だった過去を見た時、その過程が細い糸で繋がる事に気づく。

 誰がなんと言おうとやりきって見せる。

私たちの目に映るものは

 マクドナルドの食品偽装、異物混入問題は未だ記憶に新しい。一時は大きく信用を失墜し大きく欠損を出す事となった。

 しかし、マクドナルド業績はV字回復を見せたのである。その原動力となったことは原点に立ち返る行動だった。サラ・カサノバ社長は47都道府県を一年間かけて周り、お客様の声を直接聞いた。社内の報告は、バイアスがかかりやすいものだ。しかし、直接お客様の声を聞く機会は、現在の真実を見せてくれるのである。

 働き方改革法案の施行をはじめ、私たちの業界が未来に向けて変わらなければならないのは明白な事実だろう。ここで注意しなければならないのは、私たちの存在価値、ものづくりの理念を常に中心に据えることだ。

 どの様に環境が変わろうとも、私たちはこれを置き去りにしてはならない。私たちの目に映るものはお客様の声だ。それを真摯にものづくりに反映させることだ。

 技術とは、出来ない理由を並べ、体系立ててその言い訳をするためにあるのではない。社会に役立ち、人の役に立つためにある。

 守るべきものと変えるべきもの。その間に妥協は許されない。

 

感性と数値

杜氏、農口尚彦氏は『自分を菌に近づける。菌と対話できるまで、菌に愛情をかける。』と言う。

また彼の酒蔵の壁には、彼の信念が刻まれている。

『麹菌に合わすんだ、酵母菌に合わすんだ、自分を。自分の都合を押し付けとるようじゃ 絶対酒はこっちを向いてくれない』

現代のものづくりは、ほとんどの場合数値化することが出来る。それは均質なものをつくり品質の安定化を図るためのひとつの方法だ。

私たちの消防車づくりも計画し、標準化を進めることで品質の安定を図るっている。

工業製品ならそのような事も可能だが、酒造りのように自然と生き物が相手であれば、それをそのまま当てはめることが出来るだろうか?

酵母菌と対話をする』という感性の世界を数値化することなど不可能だろう。

気温、湿度、米の出来具合、麹菌、などそれぞれの複雑さが絡み合い造られる酒は単なる嗜好品ではなく芸術品なのかもしれない。

そして、次年度から施行される働き方改革はこのように毎日24時間が商品の出来に大きく関わる酒造りにどの様に影響するのだろう。心配である。

プロとの差

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 アルパインライミングの技術のひとつとして学び始めたアイスクライミングだが昨今、事故が多発している。

当日の気温、氷の状態、それによって使用する道具の選択も経験を要する。プロと呼ばれている人たちと、そうで無い人たちの違いは安全基準の差がそのひとつだと思う。

 彼らの幾つもの細かい配慮。

 過日も山岳ガイドが、氷の状態を見極め、アイススクリューの材質を変えていた。また、何気ない一連の動作の中で指でロープをしごきキンクをとり、傷をチェックしている。

 ロープは使い方によってキンクし、濡れたものをそのまま放置すれば縮み、さらに時間の経過とともに短くなる。そんなことを見えない所でチェックし、管理している。

 私たちの仕事に置き換えれば、消防車両の安全基準は定められたものだけでは無く、使い手の立場に立って、何故そうつくるのかというひとつの思想の下に実現される。

 それは表から見える部分では無く、見えない部分のつくり込みによるものが少なくないのだ。

 プロとの差は安全基準の差・・これはどの様な世界でも共通の認識なのかもしれない。

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働きやすい会社を選ぶ

 テレビのニュースから流れてきた言葉に少々違和感を感じた。

 来年度の就職の企業合同説明会が開催されたというニュースだ。どの様な企業を来年卒業する若者が選ぶのだろう。

 耳を傾けた。『有給休暇が取りやすく、残業が少なく、給与が高い・・・』働きやすい会社を選定しているとの事。分からないでもないなと思った。

 もし、社会経験のない自分がもう一度企業の選定基準を考えるならそのように答えるかもしれない。

 しかし、忘れてはいけない事はその反面で一方では、という社会人としての厳しい側面が待ち構えているという事だ。

 入社する時は学生諸君が様々な条件を下に企業を評価し選定するが、一歩企業に入れば、会社から評価され、お客様から選定されるのである。

 立場が瞬時にして逆になる事を理解できずにそのまま社会に出れば大きな勘違いをすることになる。入口はそれで良いだろう。

 働きやすい会社もそうだが、やりがいのある会社が選定基準となって欲しいものだ。

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少々おせっかいなくらいがいい

 私たちは会社の目的達成の為に集っている。確かに会社の門を叩いたほとんどの人たちが最初から会社の目的達成のために集ったのではないだろう。

 消防車をつくってみたい、設計に携わってみたい、たまたま人を募集してたから、など入口の理由は様々だろう。しかし、どの様な理由があるにせよ弊社の一員として仕事をする事は、会社の目的の実現の為にあると言える。

 仕事一つひとつを見れば多岐にわたるが、全ての仕事には意味があり必要である事はご承知の通りだ。何一つ欠けても組織が効率的に動く事は難しい。

 それぞれの部署でそれぞれに与えられた責任を全うする事は最低条件だがそれだけをやっていれば良いのではない。組織で気を付けなくてはならないのはセクショナリズムに陥る事だ。

 そんな時は例外なくこんな言葉が飛び交う。『それは私(自分の部署)の仕事ではない、担当は私ではないので分からない・・』

 仕事の担当とは主たる担当を示し、それ以外をやらなくても良いという訳ではないのだ。『私の仕事ではない』ではなく会社の仕事だという事を理解しなくてはならない。

 野球で言えば『それはファーストの打球だ、セカンドの打球だ』とい合っている様なもので、そんな時は例外なくお見合いをして打球を落とす事になる。

 

 小さな事でも報告し情報を共有しよう。他のメンバーの仕事を気に留めお互いに声をかけよう。指示はシンプルに明確にし、必ず結果の報告を受けよう。個人で成し遂げる事が出来ない事を成し遂げる為のチームであり、企業なのである。<a href="http://management.blogmura.com/syacho_owner/"><img src="http://management.blogmura.com/syacho_owner/img/syacho_owner88_31.gif" width="88" height="31" border="0" alt="にほんブログ村 経営ブログ オーナー社長へ" /></a><A HREF="http://blog.with2.net/link.php?563747">

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それってつくれるの?

 『それってどうやってつくるんだ!』
 何時になく、強い口調で話しているのは現場で叩きあがりの古参の社員だ。彼は高校を卒業し直ぐに弊社の門を叩いた。
 現場で消防車両の製造の一から十までを学んだ。当時はポンプユニットそのものを弊社の鋳物工場で鋳造していた。それを知る最後の社員だ。
 現在分業化された中で、現場を知らない技術者も増えてきた事も事実だ。図面はある意味で絵に描いた餅だ。それが実現可能なのかは、どうつくるか、どう組み立てるかを知る必要がある。
 そのような状況の中で彼のサゼッションには若手の技術者にとって重要なヒントが詰まっている。最初は何を言われているのかすら分からなかったようだ。頭の中でイメージを膨らませ、手順を確認する事で彼が言っている事を租借し理解したようだ。
 『現場・現物・現実』
 コンピューターシュミレーションの精度がいかに向上しようとも、最後は現場で、現物を確認し、現実を知る事が私たちが目指すものづくりに繋がる。
 私たちは、消防車づくりを通じて、消防職員をサポートし社会に貢献するものづくり企業である。
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