長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

感性と数値

杜氏、農口尚彦氏は『自分を菌に近づける。菌と対話できるまで、菌に愛情をかける。』と言う。

また彼の酒蔵の壁には、彼の信念が刻まれている。

『麹菌に合わすんだ、酵母菌に合わすんだ、自分を。自分の都合を押し付けとるようじゃ 絶対酒はこっちを向いてくれない』

現代のものづくりは、ほとんどの場合数値化することが出来る。それは均質なものをつくり品質の安定化を図るためのひとつの方法だ。

私たちの消防車づくりも計画し、標準化を進めることで品質の安定を図るっている。

工業製品ならそのような事も可能だが、酒造りのように自然と生き物が相手であれば、それをそのまま当てはめることが出来るだろうか?

酵母菌と対話をする』という感性の世界を数値化することなど不可能だろう。

気温、湿度、米の出来具合、麹菌、などそれぞれの複雑さが絡み合い造られる酒は単なる嗜好品ではなく芸術品なのかもしれない。

そして、次年度から施行される働き方改革はこのように毎日24時間が商品の出来に大きく関わる酒造りにどの様に影響するのだろう。心配である。