後藤田五訓
一、出身がどの省庁であれ、省益を忘れ、国益を想え
二、悪い本当の事実を報告せよ
三、勇気を以って意見具申せよ
四、自分の仕事でないと言うなかれ
五、決定が下ったら従い、命令は実行せよ
これは、中曽根内閣で内閣官房長官を務めた後藤田正晴氏が 部下に与えた訓示で、『後藤田五訓』と言われている。
この五訓は企業にも当てはまる。一だけが、『どの部門であれ、部門の利益だけを考えず、会社全体を想え』と読みかえることが出来るだけで、二〜五まではそのまま通用する。
企業でも問題点の本当の原因を追求せず、表面で捉えていることが多い。
正しいと思う事は企業のことを想い意見具申しなくては何も変わらない。そのためには企業に意見を柔軟に受け入れる度量が必要だ。
『その仕事は私の仕事ではありません・・ 』たまに耳にする残念な言葉だ。会社の仕事は全ては自分の仕事に係わっている。それを役割分担しているだけだ。
そして、決定が下ったら従い、実行せよ。方針が定まるまでのプロセスは議論が大切だが、決まったら仮に自分の思うところとは異なっていても実行することが大切だ。
今回、大阪府の職員のメール問題が取りざたされていたが、一般の視点から完全にずれてしまっていると感じた。(メディアは部分的に切り取って報道するのでどこまでが本当かわからないが・・)問題はこんな考え方が出て来る背景にある。
これは今回、一職員からメールというかたちで現れただけのことで、企業で言えば『社風』にあたるこの部分にフォーカスしなければ問題は違ったかたちでまた現れる。
改革の多くは定性的な『社風』改革に時間が掛かる。
以前に橋本知事が当選したとき、最大の敵は外ではなく、内にあるとコメントさせていただいた事がある。
カルロスゴーンが日産の改革に携わった時、『日産の敵は日産にあり』と語った。これは、日産の中を改革しようとした時、それが進まないのは社内に大きな原因があり、対外的な要因はそう大きな問題ではないと語っている。
変えることを良し、としない組織の風土。
変えなくとも現在はやっていけるし、これからも大丈夫だろうという、危険ともいえる楽観的な発想。
変えることが面倒くさい、今のままで良いじゃないかという、怠け者の思想。
今まで『こうだった』からこれからも『こうである』という、過去の踏襲が全てであるかのごとく、勘違いする集団心理。
この部分が出来れば改革の半分以上は終わったも同然なのである。
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