鬼の十則

　広告代理店電通には、四代目社長吉田秀雄氏が創った行動規範がある。それが、鬼の十則である。これは、広く知られているところだが、その四番目にはこう書かれている。
　『難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある』
　私たちは、出来れば物事を簡単に済ませたいと考える。複雑な仕事に相対すればエネルギーを使うし、疲れてしまう。一方では、複雑なそれは、考え、トライし、結果を得て、さらに目標達成の為に修正する事を繰り返す中で、様々な事に気づき、それが成長の糧となる。
　難しい仕事には、使うエネルギーに比例して、成果と成長があるのだ。翻ってみると、新入社員の頃、入社早々、与えられた仕事は、困難を極めたが、様々な人からサポートを受け、やり遂げることができた事は、今の自分の中に大きく残っている。
　日本には、若いころの苦労は勝手でもやれ、という言葉が残されている様に、困難は成長の機会であることは、間違いないようである。

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