長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

ハイジのチーズ


 たまに、ふらりと立ち寄るお店にはラクレットというチーズを溶かす機械が置いてある。
 特別な物ではなく、上に赤外線のヒーターがあり、その熱でチーズを溶かす。
 アルプスの少女ハイジは私が小学生の頃、日曜日の確か7時30分からカルピスまんが劇場(だったと思う・・)で放映されていて、必ず見ていた。(1974年頃か?)
 この頃の子供向けのまんがの中でも非常に道徳観が見て取れるシリーズはこの時間帯に放映されていた。
 まんがを通して知らず知らずのうちに道徳を学ぶことができたように思う。
 内容はともかくとして、アルプスの山小屋で、おじいさんがハイジに朝食や夕食の時に暖炉の火でチーズを溶かし、それをパンの上にのせて、ハイジに渡すと、ハイジはとても美味しそうにそれを食べる。
 そして、そのシーンに自分を重ねて、自分がそこでチーズを食べている様にイメージして楽しんでいたように思う。
 子供心にあのとろりと溶けたチーズがのったパンがとても食べたかった。
 ある時、そのお店に立ち寄ると、ちょっと癖はあるがなんともいえず美味しそうなチーズの香りがしたので、このチーズは『何ですか』とたずねたら、返ってきた答えが『ハイジのチーズ』です。だった、たぶん『ラクレット』です。といわれてもピンとこなかったろう。
 『ハイジのチーズ』という言葉はあのシーンを思い出させ、懐かしいさが込み上げた。
 あれから35年以上たって食べたいと思った記憶がよみがえった。食べられると思ったらうれしくなってしまった。
 今まで、イメージでしかなかった味を堪能できることに小さな感動を覚えた。^^)
 スイスにはこのチーズと同じ名前のチーズを使った料理がある。蒸したジャガイモの上にラクレットを溶かしてのせ、最後に粗引きのコショウをふりかけるだけの簡単な物だが素朴で本当に美味しかった。
 世の中は面白い、当時アルプスの少女ハイジを製作していたスタッフはこんなふうにハイジを思い出し、小さな感動を覚える人間がいるなど露とも思わないだろう。
 そして、そのお店の店員が『ハイジのチーズ』です。と言わなければきっとそこで終わっていたような気がする。
 自分が、今やっていること、何気なく発した言葉が、何年か後に、良い意味でプラスにつながると素敵なことである。
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