長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

叱り方のスキル

 矢部先生は私が小学校一年生と二年生の担任をして頂いた恩師のお一人である。先生は大きなごつい手をしていた。そして、いたずらや授業中にふざけたりすると、その大きな手でげん骨をつくり、頭を『コツン』とやられた。
 もう、約30年も前のことなのに忘れもしない出来事がある。あの頃の机は木製で机の天板の部分が上に持ち上がり、中に教科書や文房具を入れることができた。
 ある時、床に消しゴムが落ちているのを見つけて、何気なくそれを拾って、自分の机の中に入れた。あの頃は、幼心に自分がいけない事をしていると思っていた様に思う。
 そこを、矢部先生に見つかり、しこたま叱られた記憶がある。先生はその時、しこたま叱ることでいけないと言うことを理解させてくれた。今でも、あのシーンが思い出されるのだから心に深く刻まれた。
 でも、先生は行為そのものを叱ったわけで、個人を批判したり否定したりはしなかった様に記憶している。
 昨今では叱ることを学校でも企業でもしなくなった。叱ることで人から嫌われたくないと思うのだろうか。波風を立てないようにトラブルは避けたいと思っているのだろうか。
 叱らないでその場をやり過ごすことは本当の愛情とは言えない。叱る相手の将来のことを想い愛情を持って叱ってあげられることが本当に大切なのである。
 但し、ここで大切なことは『愛情』をもって真剣に叱ることだ。愛情があれば、感情的になっても良いじゃないか。愛情があれば叱られているほうにも必ず伝わる。
 自分の『好き・嫌い』や、『合う・合わない』で叱ってはいけない。それは叱っているのではない。相手にはいやな部分を見透かされてしまうものだ。そんな時は伝わらないし、相手も直って行かない。いくら言っても直らないのは叱る方に原因があることが多い。
 矢部先生は真剣に叱ってくれた。でもそこには、将来、自分が正しい大人になって欲しいという愛情が伝わってきた。
 皆さんには『愛情』があるだろうか。本当に叱る人のことを思いやっているだろうか。真剣な『想い』ではなく、『好き・嫌い』の感情を前に出していないだろうか。良く考えてみて欲しい。
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