長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

古ぼけたミシン


 金沢の繁華街片町にそのお店はある。『金港堂』は私の友人の宮谷さんが経営するオーダーシャツのお店である。
 私は学生時代に格闘技をやっていた関係上吊るしのワイシャツが体に合わないのである。体の一部にシャツを合わせるとその他が大きかったり、小さかったりする。
 そこで少々お高いのだが『金港堂』シャツをつくることになるのである。また、とても丈夫なので傷みやすい襟ぐりや袖が擦り切れてもその部分だけ交換してくれるので結局お得なのである。
 何度もお店にお邪魔しているのだが先日、ふと古ぼけたミシンが目に付いた。『これ、現役なの』と尋ねると『そうです』との答え。

 見るとシンガーミシンである。シンガーミシンと言えばミシンの代名詞のような記憶があるが、その使い古されている感じがとても味が出て良いのである。
 昔の機械類を見ると本当に丈夫にできている。たぶん、当時は強度計算を行って設計するというよりは、経験値で設計していたのだろうと思う。
 この古いミシンを見ていると、きっと良い職人の手から沢山のシャツを生みだして来たに違いない。
 この様に大切にされてきたミシンからこれからも体にぴったり合ったシャツを沢山つくってくれることを期待したい。
 ものづくりの思想はつくるものは異なっても、その根っこに流れるものは同じなのである。
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