不完全の美
不完全が完全になった瞬間から崩壊が始まる。したがって、完成させずに不完全を前提につくられた庭がある。
京都の龍安寺の石庭である。『枯山水』と呼ばれる庭は水を表現する為にあえて水を抜き白い砂で水を表現する。
そして、15個の石を、白い砂の上に無造作に配置し、シンプルであるがゆえに見る人により複雑な印象を与える。
15個の石はどこから見ても14個しか見えない。15個になった時が完全となり、崩壊が始まると考えられているからのようだ。
企業が永遠に成長する為には常に理想に向けて変化していくことだ。不完全であるからこそ、完全を目指し成長していくのである。それで良し、と思った瞬間から崩壊が始まるのもそれに似ている。
ある意味、宇宙の法則なのかもしれない。
また、この『枯山水』の庭は私たちに様々な事を示唆してくれている。小さな15個の石は無造作に置かれているように見えるが、その幾つかは大きな石の一部が地上に露出しているものがあるそうだ。
先人は目に見える部分だけに捉われず。見えない部分を見る事の大切さを私たちに伝えようとしてくれたに違いない。