大きなものは見えない
私が10年間のサラリーマン生活を卒業し、法人を立ち上げたのが三十代前半だった。その時に初めて分かった事が沢山あった。
当時は会社の仕組みなど分かるはずもなく見よう見まねのスタートだった。
会社という組織の中ではそれぞれに責任と役割分担をして事業を遂行するが、小さな個人事業の場合は全てを自分でやらなくてはならない。
そんな経験をして初めて、見えない所でそれぞれがそれぞれの役割を果たしてくれるお陰で目標が達成できる事を理解する事が出来た。
今回、東日本大震災でも非常に大きなサプライチェーンが崩壊した事で殆どの製造業が大きなダメージを受けた事は記憶に新しい。これはひとつのものを作る時に大変な数のサプライヤーが係わっていた事を表面化させたのである。
私たちが何時も購入している消防車の中で情報を送る為の信号線も多くの原材料からつくられいた。その原材料のひとつを製造している企業が被災した事で信号線が製造できなくなり、結果として私たちの生産計画にダメージを与えた。
日本全体のサプライチェーンはとてつもなく大きく複雑に絡み合っている。大きなものは視ようとしなければ見えず、その恩恵を理解することも難しい。
俯瞰的な視点で見れば地球全体のバランスが取れているから私たちは生きて行くことが出来る。例えば大量のCO2を排出しても、それを吸収してくれる森林がある。それをミクロな視点で森林を伐採すれば、そのバランスが崩れ、生態系に影響を及ぼす事は明らかだ。
大きなものは見えない。しかし、私たちはその大きな物の恩恵を受け生かされている事を忘れてはならない。