長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

木を見て森を見ず

 技術者は、俯瞰的な視点で物事を見る事が大切である。問題の本質がどこにあるのかを考えて欲しい。やりたい事や、容易な事からやるのではなく、必要な事からやらなければならない。
 問題の本質をつかむ事で、適切な対応が出来るが、枝葉にとらわれて目の前の事だけを対処しても、同じ問題を再発させるだけだ。
 俯瞰的にものを見る、と言えば法隆寺直系最後の宮大工と言われた西岡常一氏の言葉を思い出す。
 彼は、『木を買わず、山を買え』と言った。同じ山に生えている木でも北向きに生えているか、南向きに生えているか、日当たりの良い場所か、木が密集した日当たりの悪い場所で育ったかでくせが変わってくる。
 だから木を一本の木として見るのではなく、山全体として捉え、山に足を運び、どのような環境で育った木なのかを見極め調和の中で捉える。そして、そのくせを見抜き、木組みを考え適材適所に配置する。それが棟梁の仕事である、と言う。
 西岡氏はまさしく非常に大きな視点で物事を見ており、大工の棟梁という職を遥かに越え、棟梁と言う職業を通じて悟りの域に達しているように感じる。
 『木を見て森を見ず』私たち技術者が常に俯瞰的な視点で物事を見る必要性を教えてくれる言葉である。
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