長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

登山家の命を守った発明

 Gore-Texファブリックは、ある日突然生まれた。もともとは、別の製品の開発をしていたのだが、何度やってもうまくいかず、ある時腹を立てて開発中のフッ素皮膜を思いっきり引っ張った事でGore-Texファブリックは誕生した。
 水は通さないが水蒸気は通すと言う、相反する特性を持ったこの素材は多くの登山家の命を守った。
 私たちが、登山を始めた30年前、登山用のカッパといえばゴム引きのカッパだった。カッパを着て歩くと、雨には濡れなかったが、汗で内側がべちょべちょになった。
 着ていっても、着ていなくても濡れるのには変わりのない代物だった。初めてGore-Texのカッパを着て雨の中を歩いた時、その防水性の高さと、ゴム引きのカッパには比べようもない透湿性に驚いた。
 初期のものはシームテープ処理を施していなかったので、豪雨の中を歩くと縫い目から水が染みたが、現在のものは完璧である。
 この発明は、夏山、冬山を問わず多くの登山家の命を救った。身体をぬらした状態で、山で強風に吹かれるのは、死を意味する。
 私たちが開発する消防用品には人の命を守ると言う大義がある。だからこそ、その意味を理解し、全力で開発を成し遂げて欲しい。
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