観ると見えてくる
過日、笠新道から笠が岳を経由してクリヤ谷ルートを縦走した時、あることに気づいた。
笠ヶ岳山頂から岩綾帯を降り、稜線に取るととても背の高い這松が多いことに気づく。両手でかき分けないと進めないほどだ。
多分、この稜線はあまり、積雪しないのだろう、標高が高いにも関わらず這松がの高さが高くなるのではないかと思う。
一方でもう少し、標高を下げるとハイマツの高さは低くなり、厳冬期はかなりの積雪量があることが想像される。
地形をよく観察すると、様々なことが見えてくる。
阿曽原温泉小屋にお世話になった時。オーナーの佐々木氏に聞いた話が妙に印象に残っている。黒部の谷は日本有数の深さと豪雪地帯であることから、多くの水が雪となって保水される。これが少ないと、山に水を保水することができないのだ。
雪が多いからこそ緑がおおい茂り、それが秋になると多くの葉を落とす。それが養分となり根が深くはり、山を強くする。
しかし、雪が少ないことでこの連鎖がうまく働かず、ちょっとした雨で土砂崩れがおきるとお話しされていた。自然は俯瞰的に見れば繋がっており、微妙な生態系のバランスで成り立っている。
黒部の深い谷がこれからも安定していくには、これまで通り多くの積雪が必要なのである。温暖化がもたらす影響は、黒部の谷にも迫っているように思う。
小さな積み重ねが、未来を決定する。自然も人生も同じなのである。
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