三歳の童子も知れど、八十歳の老翁も行なう事を得ず
はるか昔、中国の唐の時代に道林禅師と呼ばれる高僧がいた。ある時、詩人の白楽天が道林禅師を尋ね、『仏教とは何を教えるのか』という問うた。
道林禅師は『悪い事ををせず、良い事を勤めて行い、自ら身も心も清らかに保つ事、それが諸仏の教えである』と答えた。
白楽天はケラケラと笑い、『そんな事は三歳の童子でも知っている』と言った。
すると禅師は『三歳の童子も言えるといえども、八十の老翁も行なう事を得ず』と答えたという。
皆が知っている当たり前のことも、いざ行なおうとするとそれがとても難しく、なかなか行なえないということなのだ。
考えてみればこの話は千年以上も前の話である。
数千年前から『当たり前のことを当たり前に行なう』事が物事の本質であり、さらにそれを行う事が如何に難しいかを説いている。
今、私たちが挑戦している事は、困難なことではない。
しかし、千年以上も前からなかなか実行できないことである事も確かなことだ。
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