長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

タスキを未来につなぐ


 沖縄のお客様を訪問し、ホテルの部屋に戻った。今日は一日天気が悪く少々疲れが残った。ベッドに腰掛け、テレビをつけると『奇跡体験アンビリバボー』が放送されていた。
 ある程度デフォルメされているのは承知しているが、放送内容は心に訴えかけるものがあり好きな番組のひとつだ。
 小豆島は昔ながらの木桶を使い、昔ながらの製法で醤油を作り続ける醤油蔵が21ある。木桶を使う醤油作りは、その蔵に住み着く菌によって成し遂げられる。立派な蔵があっても蔵に菌が棲みつかねければ醤油作りはできない。
 アミノ酸で味を整えられた甘い醤油と木桶で仕込んだ醤油は全く別のものだ。焼き魚やお寿司に使ってみるとその違いに驚く。
 しかし、木桶で仕込んだ醤油はその製法に手間がかかるため、ステンレスの桶のように大量生産には向かない。また、木樽の寿命は100〜150年だという。
 この醤油蔵の5代目は木樽による醤油作りを未来に残すため、大阪の堺に唯一残る木樽を作る会社に弟子入りし、木樽作りから学んだ。
 そして、小豆島に戻り自ら木樽を作り上げようとするが、桶を締めるタガに使用する真竹が小豆島にはない。京都にはあるがそんな長いものを運ぶことはできなかった。
 島に住む竹墨を作る老人に相談すると、自分の裏山に真竹があると言う。そしてその真竹は、将来自分の孫が醤油作りをするときに必ず必要になると、彼のおじいさんが植えたものだった。
 5代目は言う『これまで、次の世代、そして次の世代に受け継ぐために日本人は何かしら手を打って来た。それは醤油作りだけではない。昔から繋がって来ているものには必ず意味があるから続いている。そのタスキを次につなげて行く事が自分たちの役目だ』と。
 彼らは、毎年木桶を作って来た。そしてそれは14本となった。6代目、7代目の世代にその木桶に蔵の菌が住みつき、未来に醤油作りが連綿と受け継がれるように。
 日本人は、目先を見るだけではなく、大きく俯瞰的に未来を見て生きて来た。大量生産大量消費の時代は、決して長くは続かないだろう。
 私たちは日本人だ。世界に誇る国体を持ち、バランス良く生きる。忘れていないだろうか日本人の美徳を。
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