長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

強度と剛性を考える

 鉄骨と鉄板で消防車両を製造していた時は、経験値が全てだった。80年の歴史と経験から、この様に製造すれば壊れないだからそうつくるというのが業界のスタンダードだった。
 しかし、7年前に消防車のフレームを鉄骨と鉄板からアルミニウムやGFRPに切り替えるためには従来の経験は全くと言っていいほど通用しなくなった。
 数値的な根拠を持って設計する事を求られたのである。フレーム設計に大切なのは強度と剛性をよく理解する事だ。これらは全く異なる指標だ。消防車のフレームを構成している部材にサブフレームがある。
 これは構造体を一番下で支える鉄製のフレームだが、軽量化のためにSS400からハイテンションスチールに素材を変更した。降伏点がSS400の倍近くもあるため、強度的にはこの素材を使う事で薄く軽くすることができる。
 しかし、SS400もハイテンションスチールもヤング率が同じなので、剛性は全く同じだ。従って、薄くした分剛性が低下してしまうのだ。その視点を抜きに設計を進めれば、強度は問題ないが剛性が低いフレームになってしまう。
 今日はこんなことがあった。屋根に重量物を積むのでストリンガー(補助強度部材)の形状を変えましたという。重量物とは何キロなのか、そしてそれは等分布荷重なのか集中荷重なのか全く考慮せずに感覚で物事を進めていたのだ。
 設計には条件が必要だ。屋根の上に載る重量は何キロなのか、荷重条件はどうなのか。。。私たちは根拠を持ってものづくりをすることを定めた。時間との戦いだが手を抜かず丁寧に仕事を進めねばならない。
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