北風と太陽

　ある時、北風と太陽がどちらが強いか言い争っていました。いくら、言い争っても結論は出ません。その時、一人の旅人が目に入りました。
　『よし、あの旅人のコートを脱がせたほうを勝ちにしよう』と北風と太陽は決めました。『最初は僕が挑戦しよう』北風が言い、思い切り強く『ビュー』と北風を吹きつけ無理やり着物を脱がせようとしました。
　でも旅人はコートを飛ばされまいとますます強くコートを押さえました。北風はさらに強く『ビュー』と吹き付けましたが、結局旅人はさらに強くコートを押さえてしまい、コートを脱がせることができませんでした。
　つぎは太陽の番です。太陽はさんさんと輝き始めました。すると、今まで冷え切っていたその場所は見るみる暖かくなりました。『あー暑い、今日はなんという日だ、寒くなったり暖かくなったり・・』旅人は思わずコートを脱ぎ捨てると川に飛び込み水浴び始めたのでした。
　『何事も力ずくでしようとした僕の負けだよ。』北風は言いました。
　これはイソップ童話の中の話である。厳しい態度で人を動かそうとしても、かえって人は頑なになるが、暖かく優しい言葉を掛けたり、態度を示すことによって初めて人は自分から行動してくれるという、組織行動学の視点から見ても非常に理にかなった物語である。
　私達は正しいことを正しく行う企業を目指している。しかし、正しいことでも進め方を間違えるとうまくいかない事もあるだろう。
　目の前の現象を多角的に、そして冷静に捉え、相手の立場に立って行動すれば物事は必ず良い方向に進む。あせりは禁物である。
　『仕事を通じて豊かな人間性を創りあげよう』この社是は私達の全ての原点である。
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