長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

差別化

 『瞬足』というシューズをご存知だろうか。日本の小学生の人口が全国で600万人と言われている中で、なんと300万足(06年)も売れた運動会専用のシューズである。

 子どもの運動会に行ったある父親が、リレーを見ていると、三番走者として走っていた友人の子どもが、トラックのコーナーで転倒し、最下位になり、流した悔し涙を見たことからシューズの開発は始まる。
 良く見るとコーナーで転ぶ子どもが後を絶たない。彼はシューズに出来ることはないかと考えた。
 この父親はシューズメーカー『アキレス』に勤務していた。考えて見ると校庭のトラックは左回りである。そこで彼は左回り専用のシューズをつくろうと思い立った。しかし、ソールの左側にグリップをつけるとまっすぐに歩けなるのではないか。様々な難題が生まれた。
 本来の差別化はここにあると思う。誰でも思いつくものは差別化にはならない。殆どの人が疑問に思ったり、理解できないことに大きなチャンスがある。

 また、差別化をすることを一所懸命考えていると、差別化をすることが目的とすり替わってしまうことがある。本来ならどうあるべきか、と考えなくてはならない。
 しかし、『どうすると差別化できるか』という考えに入ってしまうと『差別化は出来たけどこれでいいの?』というものになりかねない。
 この『瞬足』は最後まで、目的を見失わず、子ども達がヒーローになれることを想い完成されたものである。
 私はここにものづくりの原点を見たような気がする。これは『売れそうなもの』ではなく、『子ども達がヒーローになれるためのもの』である。
 瞬足には開発者の想いがこめられている。
 私達は消防車メーカーとして、このシューズと開発の思想に学ばなくてはならないと思う。
 私たちは現場で活動する消防士のことを想い車両をつくっているだろうか。
 私たちは消防設備の現場や消防機器を販売する際に、それを使う人、そしてそれに守られる人のことを想い設備を施工し、商品を選定しているだろうか。
 防災に携わるものとして、自分達の仕事に想いを込め、誇りを持って仕事をしなければならないと思う。
 彼らはこうも言っている。『瞬足』の完成はシューズが出来上がることではなく、それを履いた子どもが走ることに興味を持ち、将来オリンピックの選手や教師を目指す様になった時、このシューズは完成なのです。と・・・
参考文献:DIME 18号他
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