謙譲の美徳
学習院初等科の校長を勤められた、川嶋優氏はこう書かれている。
>>ある昼下がりのことです。私は校舎の廊下を歩いていました。ちょうど父兄参観の日で、多くの保護者や生徒たちが私とすれ違いました。
そのたびにだれもがきちっと礼をしてくれます。ふと前を見ると、一人だけ私が歩く通路をよけて、わざわざ廊下の端のほうで最敬礼をしている親がいます。
ずいぶん立派な方がいらっしゃるものだと、私は感心してしまいました。どなただろうとお顔を見ると、なんと深々と礼をされていたのは、美智子妃殿下だったのです。
人間ができた人ほど、謙虚で頭が低いものです。>>日本人はとても礼節を重んじる民族だった。『だった』と書いたのは今は私を含めて、それに程遠い人たちがとても増えたように思うからだ。
一時、『自由な子育て』や『個性を尊重する子育て』という欧米型の教育がもてはやされ、『知識』という基礎の上に『自分で考える』という『思考』があるのにもかかわらず、最初から子供に考えてごらん、と言うようになった。
思考というのは自分の持っている知識を組み立てて再構築することをいう。この『知識』は子供の頃に親が教え込まないと自然には身につかない。
子供がまだ小さな頃は親の価値観を、しっかりと子供に植え付けるべきだと、川嶋先生は仰っておられる。私も同感である。
日本人としての誇りと謙譲は傍から見ていてもとても美しい。はっきりものを言う欧米型も悪いわけではないが、ここは日本である。
日本の文化は日本の特性、環境が育んだものだ。桜が散る、静かな池に水が滴る、青から赤そして黄色までの色の変化がある紅葉。このような風情は欧米には無い。この環境が日本人の感性を育んだ。
国際化の現代だからこそ日本人らしさを失わないことが大切である。日本人としての品位と誇りが今日の日本を救うような気がしてならない。
- 作者: 川嶋優
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