長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

残すべき技術


 私たちの消防車両を構成している部品にリヤタイヤのフェンダーがある。このリヤフェンダーは現在では、ヘラ絞りやプレスなどで製造していることが多い。
 これは当然コストと品質の問題が大きい。私たちはこのリヤフェンダーを全く機械を使うことなく手作業で製造している。
 コストと品質という角度から見ると、効率は良くない。(品質は熟練したクラフトマンシップにより、手づくり質感を生み出している。)しかし、私達があえてこの技術を手作業で継承しているのは技術には継承すべきものと、そうでないものがあると思っているからである。
 この叩いて造形するという技術は、他の作業にも応用が利く。学生の頃ドイツのポルシェの工場を見学に行ったことがある。
 その時、最終工程で小さなハンマーのようなものを持った職人さんが、車体の表面のひずみを手で感じて、叩いて直していたシーンが頭に焼き付いている。
 『最後は彼らの手に掛かったものだけがポルシェになります。』という言葉に感動したことを思い出す。
 部分的に見れば非効率でも、大局観で見れば、様々な技術のベースになっていることも確かである。残すべき技術と効率を追い求め変えていく技術を見極め、その目的を明確にしていかなければ、この様な技術は消滅してしまう。
 一度無くなったものを取り戻すことは容易ではない。
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