長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

不思議な体験

 東京で生産技術の仕事をしている時、ある問題点にぶつかった。製造工程に問題があり、作業効率が上がらない。何とか冶具で対応しようと試みるがうまくいかない。
 生産能力は低下し、出荷に影響をきたし始めた。当時の上司から『何とかしろ』と言われ、自動機を考え始めた。最初は人間がやればどのような方法で仕事を行っているか観察してみようと思い、一日作業をしているパートさんの側に腰を下ろして作業の分析を行った。
 どのような方法を取ればうまくいくのだろう。考えに考えるがうまくいかない。今から考えると会社へ通う行き帰りの電車の中、食事中、何をしていても考えていたような気がする。
 しまいにはぶつぶつ一人ごとを言いはじめて、周りから『何言ってるの?』と気味悪がられた。寝る時も枕元に手帳とペンを置いていた。
 とうとう、出荷に問題が出始めパートさんの人数を増やして対応しようと言う話になった。
 自分自身が考えられないことが会社に迷惑をかけている様に感じてストレスが溜まり、胃が痛くなった。
 ある時、寝ていて夢を見た。『そうか!』と思って目が覚めた。枕も元においてあったメモ帳にその方法を記した。早く朝にならないか本当に待遠しかったように記憶している。
 会社で直ぐに図面を起こした。現場の職人さんに図面とアイディアを説明し、自動機をつくってもらった。エアーシリンダーも自作しつくった。職人さんも一生懸命つくってくれ、三日ほどで完成させた。
 それを現場に持ち込み作動させると、見事にパーツを組み込んでくれた。最初は精度が悪く10個に2〜3個エラーをしていたが、方向性は間違っていないと確信し、微調整しながら使ってもらった。最終的には0.1〜0・3%程のエラー率になった。
 社員の皆さんに何がいいたいかと言うと、何事も何としても達成しなくてはと思えば、殆どのことが目的を達成できるものだ。しかし、それには『何としても』と言う燃えるような情熱が必要だ。
 これまで世の中で困難と思われてきた偉業を達成する原動力となったものは燃えるような情熱であることは間違いない。目の前に起こる小さなことも一つひとつ大切にこなしていけば将来大きな差になることは紛れも無い事実である。
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