長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

木に学べ「木を買わず山を買え」

『塔組みは 木組み、木組みは 木のくせ組み、木のくせ組みは 人組み、人組みは 人の心組み、人の心組みは 棟梁の工人への思いやり 工人の非を責めず、己れの不徳を思え』
 法隆寺直系最後の宮大工棟梁、西岡常一氏の言葉である。この言葉を目にした時、私は衝撃に近い感覚を受けた。『木を組むには人の心を組め』木は育った環境によってくせがある。
 同じ山に生えている木でも北向きに生えているか、南向きに生えているか、日当たりの良い場所か、木が密集した日当たりの悪い場所で育ったかでくせが変わってくる。
 だから木を一本の木として見るのではなく山全体として捉え、山に足を運びどのような環境で育った木なのかを見極め調和の中で捉える。そしてそのくせを見抜き、木組みを考え適材適所に配置する。それが棟梁の仕事である。
 さらに人も同じく各人のくせを見抜き、適材適所に配置し、心ををひとつに束ねるのも棟梁の仕事なのである。
 この言葉は会社経営にそのまま通じる極意だ。適材適所という言葉は理解はしていたが、自分自身分かっていなかった。
 西岡氏はまさしく非常に大きな視点で物事を見ており、大工の棟梁という職を遥かに越え、棟梁と言う職業を通じて悟りの域に達しているように感じた。
 西岡氏はこうも仰られている。『山というのは、わたしども人間のふところやと思います。人間でいえば母親のふところです。人間というのは知恵があって、すぐれた動物やから、なんでも自分の思うようにしようとするけどね、そんなの自然がなくなったら人間の世界がなくなるんです。そう考えたら、木も人間もみんな自然の分身ですがな。お互い等しくつきあうていかなあきませんわ。』
 『自他一如』森羅万象、世の中にあるもの全てが不必要なものはひとつもなく、全てが自分に係わっている。だからこそ調和を重んじ、全てを大切にすることが最後は自分を大切にすることになる。人のために一生懸命努力することは人の為と思っていても最後に自分に帰るのである。

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