長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

黒部の太陽

 朝、五時に起床し、窓の外を見るとまだ、真っ暗だ。今日は曇り空の様である。
 六時に金沢ニューグランドホテルの前に集合し、金沢ロータリークラブのメンバーと関西電力黒部川第四発電所黒部ダムの職場見学に出掛ける。
 通常ならば、一般の方々が入ることが出来ない欅平から先へ、北陸電力金沢支店の塚支店長のお取り計らいで今回は行くことができる。

 バスで宇奈月まで行き、関西電力さんの工事用トロッコ電車に乗り、欅平まで向かう。
 途中黒部峡谷の美しさに目を奪われる。生憎の雨模様だったが、今が紅葉真っ盛りである。
 欅平から先は、一般の方々は入ることが出来ない。ヘルメットを着用し、関西電力さんの工事用トロッコ電車に乗り、黒部川第四発電所に向かう。
 この関電トンネルの完成なくして、黒部ダムの完成は無かった。黒部源流奥深くの工事は困難を極めたに違いない。170人以上の殉職者を出し、当時の人たちはこの難工事を成功させた。

 途中、耐熱車両に乗り換え、『高熱隧道』を通過する。現在は摂氏40度ほどだが、当時は摂氏160度を越える高熱の岩盤を掘り進んだ。
 この高温の坑内作業から、作業者に水をかけて冷却したり、ダイナマイトの自然発火を防ぐ数々の工法が工夫され困難を克服した。
 この工事にかける、先人の勇気と情熱と気概に胸が熱くなるのを覚えた。
 『高熱隧道』を通過すると、2002年のNHK紅白歌合戦』で中島みゆきさんが『プロジェクトXのテーマ曲地上の星』を歌った場所を通過する。12月31日、大晦日の坑内の気温はマイナス2℃だったそうである。

 黒部川第四発電所に到着し、発電所内を案内していただく。この途轍もないスケールの建物が地下につくられている事にただただ驚くばかりである。
 発電所内にペルトン水車の実物が展示してあった。水車効率がなんと98%、水のエネルギーを98%の効率で電気に変換することが出来る。究極のエコ発電装置である。
 現在は点検作業に入る為、四号水車一基だけが稼動していた。フル操業すると335000kwhの電気をつくることができる。終戦後電気需要が急速に高まることが予測され、大英断で工事が決定した。 

 昼食後、黒部川第四発電所を後にし、黒部ダムに向かう、標高1454m、総貯水量199,285,000 m³と当時日本で最大、世界でも第四位に数えられる巨大な建造物である。
 これを、人間が人力でつくり上げたとは想像の外である。今もこの黒部ダムを守り、電力を安定供給してくれている人たちの存在を私たちはこれまで考えたことも無かった。
 夏場はもちろんのこと、黒部の厳しい冬の間も、彼らの献身的な作業で、私たちは当たり前のように生活が出来るのだ。
 今回、素晴らしいチャンスを与えてくださった、北陸電力の塚支店長、そして金沢ロータリークラブの職業奉仕委員会の皆さんに心より感謝を申し上げたい。
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