長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

創立記念式典と方針発表会


 本日は長野ポンプの76周年記念式典と52期方針発表会が本社で開催された。本社、高柳工場をはじめとして、東京、大阪、七尾、富山の拠点から全社員が参集した。
 冒頭の挨拶で『創立記念日は過去を振り返り、これから進むべき方向を確認する大切な機会であり、また76年間、それぞれの時代で私たちを支えてくださったお客様、そして社員の皆さんに感謝をする日である』というお話させて頂いた。
 また、新しい組織のメンバーに対して、辞令を交付した。今後10年間、私たちが発展することができるようにベストメンバーで望みたいという、強い気持ちの現れが今回の人事である。
 方針発表会では、数値目標の以前に会社の土壌を豊かにする為の『土壌経営』について、その趣旨と方法、キーワードをお話した。この考えの原点になったのは『奇跡のりんご』の話である。
 青森県弘前市にりんご農家を経営する、木村秋則さんという方がいらっしゃる。彼の作るりんごは『奇跡のりんご』と言われている。何が奇跡なのかと言うと二年間放置しておいても腐らないりんごなのである。彼のりんごは腐らず水分だけが抜けて最後は干し菓子のようになるという。
 彼は無農薬でりんご栽培に成功したのだ。無農薬でりんごを栽培するということは、ライト兄弟が空を飛んで見せた事ほど驚くことらしいのだ。りんごに農薬を撒かないということは、りんごの木が害虫や病気に犯されりんご農家として生きていけないことを示している。
 当然、無農薬でりんごができるはずも無く、彼は無収入になり家族は貧困のどん底を経験することになる。挫折につぐ挫折だったがそれでもやり続けるがうまくいかず、彼は自殺を考え岩木山へ行き、そこで幻のりんごの木を見つけるのである。それはりんごの木ではなくどんぐりの木だったのだ。
 彼は何故農薬も肥料も撒かない自然のどんぐりの木が害虫にも病気にも負けず、こんなに立派に生長するのかが不思議でたまらなかった。その時彼は気づくのである。『どんぐりの木が生えている土だ。土が違うのだ』・・と。
 そこには自然の豊かな生態系がバランスした柔らかく、暖かく、多くの微生物が棲む土があった。彼はこれまで、りんごの木の目に見える部分だけ、地上のことしかやってこなかったことに気づく。健康なりんごの木を育む為には土壌を自然に戻すことが大切だと気づくのである。
 普通のりんごの木の根っこはわずか数メートルしかないが、彼の畑のりんごの木の根っこはなんと20メートルに及ぶ、木は健康になり、台風が来て他の畑のりんごが落果し、木まで倒れてしまうのに対して彼のりんごの木では実さえ落果しないという。
 これは自然の生態系を再現した土壌をつくり上げたことにより実現された。彼は言う『目の前のことだけにとらわれていて、見えない部分を見ていなかった』
 私たちもそうではないだろうか。数字だけにとらわれて、目に見えない所を見ていなかったのではないか。これが土壌経営の原点になったのである。
 先ずは土壌改良からである。健全な土壌に初めて、健康な木と果実が実るのである。
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