長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

長い箸

 先日、PTA関係の友人から、とても長いお箸で食事をしなければならない時、どうやって食べれば良いか知っている?と尋ねられ、自分で食べればいいんじゃないのと言うと、自分では食べられない程長い箸なのだそうだ。答えは教えてもらえなかったので調べてみると仏教の法話のひとつらしい。
 浄土と地獄では食事の時、ひとつのルールがあるそうだ。それが長いお箸で食事をする事なのである。地獄では皆がお腹を空かせ、長い箸を使って何とか食べ物を口に運ぼうとするが箸が長すぎて食べられず、皆がいがみ合いながらひもじい思いをしている。
 しかし、同じルールの浄土の人たちは皆が満たされており、何時もお腹一杯食事をする事ができるそうだ。その違いは何処にあるのだろうか。良く考えてみればとても簡単な事なのだが自分の事だけを考えていると一生分らない。
 答えは、お腹をすかせている人にその長い箸で食べ物を食べさせてあげれば良いのだ。すると、今度は相手が長い箸を使って食べさせてくれる。長い箸は自分では食べられないが相手には食べさせてあげる事が出来るのである。
 相手のことを思いやり、お先にどうぞと口に運んであげることで、自分にも返って来るというお話である。日本人はお互い様の文化を持っている。このお互い様の文化が薄れてきたと思っていたが、今回発生した東日本大震災で若者がこの文化を継承している事が嬉しく思った。
 日本人のDNAに刻まれたものは時を経ても必ず人々の心に残り、必要な時にそれが動き始めるのだろう。私は日本人に生まれて本当に良かったと思う。
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