長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

現代の『パンとサーカス』


 文藝春秋2012年3月号の巻頭に芥川賞受賞作と共に掲載されている論文がある。『日本の自殺』と題したそれである。
 インパクトのある題名だったので目を通すと、それは自殺問題を捉えたものではなく、今から37年前の1975年に文藝春秋に掲載されたものを再掲載したものだった。
 その内容は当時の日本の現状を鋭く洞察し、世界で発生し栄枯盛衰した21の文明からのメッセージを当時の日本と重ね合わせ、私たちに警笛を鳴らしているのである。
 驚くなかれ読み進めるに連れて、それは現在書かれたものの様であって、今の日本の現状と類似している事に驚愕する。
 特にギリシャ・ローマの没落していく様と今の日本の現状が余りにも酷似し、これが本当ならば将来の日本はローマが歩んだ道を進むのではないかと錯覚してしまう。
 無償の『パンとサーカス』、自制なき権利を要求し、活力無き『福祉国家』の道をたどる時、その動脈は硬化し社会は衰弱する。
 そして平等という御旗のものとに行われた教育の悪平等が次代をになう子供達の才能の芽を摘んでしまった事など、あまりにも現実味を帯びていると思わないだろうか。
 この『日本の自殺』を是非読んでみて欲しい。日本人一人ひとりが明日の社会に責任を持たなければローマの歩んだ道をたどる事になるだろう。
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