任せて祈る

　『任せて祈る』この言葉はお世話になった経営者の信条だった。大方針は彼が示し、後は部下に任せた。
　任せるという事は放置することではない。経営者でありながら常に情報集をし、プロジェクトの進捗状況を気に掛けていた。
　当然、経営者である以上担当者に何かを指示することはなかったが、情報収集をし、部下からの報告の妥当性をチェックしていたように思う。
　当時入社３年目の私は大きなプロジェクトの一員に選ばれた。これは会社にとっては大きな投資で将来の業績を左右すると言われても過言ではなかった。
　心配だったのかちょくちょく工場へ足を向けてその進捗状況を見に来ていたものだ。ある時、デリバリーの調整は君がやれ、と言われ右往左往したことを思い出す。
　人は仕事を通じて成長するものだ。機会を与えられ、それが今の自分の身の丈に合わないと分かっていても全力を尽くす事で一回り大きくなる。
　ある時、直属の上司が言った言葉を今でも忘れない。
　『任せて祈るが社長の信条だそれに応えるのが我々の責任だ』期待をかけ、必要とされる時人間は最大の力を発揮することが出来るのである。

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