執念を燃やす
もう、二十年も昔の事だ。前職で生産技術部門で仕事をしていた時、生産工程上大きな問題が発生した。これを解決しなければ生産能力が大きく低下してしまうことになる。
会社からの指示で、生産設備の自動化に取り組む事になったのである。ともかく、それは困難を極めた。人の手なら簡単な事が、それを機械で行おうとすれば簡単にはいかない。
来る日も、来る日もどうやって解決するかを考えた。夜も枕元にメモとペンを置いて、思いついたら直ぐにアイディアを書いた。電車の中でもトイレの中でもお風呂の中でも考えた。一日、生産ラインで作業者の手元をじっと見つめた。
そして、ある時電車の中でうたた寝をしていてひらめいたのである。いてもたってもいられなくなり、会社に行って図面を引いた事を思い出す。
思考錯誤の末、それは出来上がった。出来上がってみればなんという事はないのだが、その過程は困難の連続だったと思う。
しかし、今、翻ってみればその苦労も良い思い出だ。執念を燃やせば必ず、神様はヒントをくれる。ヒントは執念の下にやってくるという事を実感した出来事だった。
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