メダルを取るより難しい事

　ソチオリンピックが開幕し、モーグル競技の上村愛子選手が、メダルを期待されたが、今一歩メダルには届かなかった。
　彼女がソチを目指すと決断し、そして厳しいトレーニングを積んできたことは日本人の殆んどが理解しているだろう。
　結果は４位とメダルには届かなかったが、彼女は清々しい気持ちだとインタビューで語っている。
　私は、メダルを取る事は、その競技で世界の三本の指に入る事だからそれはそれで素晴らしい事だと思う。
　しかし、彼女はメダルを取ることより、難しい事をひとつ成し遂げている。
　それは、１９９８年の長野オリンピックから今回のソチオリンピックまで５回のオリンピックに出場し、その全てで入賞を果たしているという事である。
　これは１６年間も現役を続けてこれたという精神力と、それを支える肉体が無ければ不可能な事だ。
　これこそ、メダルを取るより難しい事だと私は思っている。
　上村選手はこれで最後のオリンピックと語っているが、私は個人的に現役を続行し、次のオリンピックを目指して欲しいと思うのである。
　引退を思うとき、それは体力が衰えるからではなく、精神が衰え、人は老いるのである。