長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

残雪期の白山


 山は様々な顔を持っているが、私が一番好きな顔は、春山である。
 厳冬期の厳しさから、春の兆しを感じる春山の眺望は筆舌に尽くしがたい。
 5月の連休の白山は、穏やかな顔をのぞかせていた。
 この時期は、まだ、市ノ瀬から登山口の別当出合まで、道路が開通していないため、その間を黙々と登ることになる。
 別当出合からは、2mを越える積雪がある。当然、夏道は雪の下なので、甚之助の避難小屋までは、直登する事となる。直登は、距離は短いがその分勾配がきつく、夏道よりもはるかに辛いのだ。気温も高く、大汗をかきながら、甚之助の避難小屋を目指す。
 途中、雪がザラメ状になり、うまくグリップしないので、アイゼンを装着するが若干マシになった程度だ。
 あまりにもの暑さに、ハイドレーションの水を飲みきってしまい、最後は脱水状態から、思うように高度を稼げなくなる。
 甚之助の小屋から、黒ボコ岩へのコースは、途中、雪崩の危険のある斜面が連続し、十分な注意が必要だ。甚之助谷の対岸でも、途中大きな雪崩を見たから尚更だ。
 夏道では、12箇所の曲がり角を登る、12曲がりも、雪の上では直登だ。ここは斜度30度近くはあろうかという急登である。キックステップで一歩一歩慎重に登った。
 脱水症状がかなり酷くフラフラになりながらなんとか室堂に到着した。室堂から眺める雄大な景色は、春山ならではの素晴らしいものであった。
 帰りはシリセードで一気に下り、一時間半で別当出合に到着した。残雪期の白山は、素晴らしい眺望と共に様々な危険をはらんでいるが、一度登るとまた登りたくなるのが春山なのである。
にほんブログ村 経営ブログ オーナー社長へ
↑ポチっと押して頂ければ幸いです