長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

伝統とは戦うこと

雨の日曜日の朝は、ゆっくりである。何気なくテレビを眺めていると、日本の伝統工芸を取り入れた豪華列車の事を番組の中で放映していた。
 その列車の内装には、日本の伝統工芸の木組みのひとつである組子が使われている。組子の技術は、非常に高度なものだが、需要と供給のバランスから考えると、この素晴らしい技術を未来に伝承する事は難しい。
 そんな中で、列車の内装にこの技術を取り入れ、豪華列車にする計画があり、職人はそれに取り組んだのである。その作業は、困難を極めた。その中でも僅か爪の先の面積に木組みを行うその繊細さには驚きを隠せない。
 出来上がったそれは、言うまでもなく素晴らしいものであり、日本の伝統工芸の技術の奥の深さ、そして緻密さに感動したのである。
 最後に、その困難な作業を成し遂げた職人が、言った言葉が深く心に残った。
 『伝統とは、戦うことだ』と彼は言う。ただ伝えられたことを、そのまま伝えるのではなく、その時代に必要な技術に昇華させることで、伝統技術は発展するのである。
 伝承とは、変えてはならないもの、守るものと、それをベースに発展させるものの二つが必要なのだ。私たちの企業にもまさしく当てはまり、中期経営計画にもうたった。
 曖昧にするのではなく、しっかりと整理せねばならないタイミングにあるのは明白である。
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