長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

星稜高校 卒業式祝辞

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
 さて、皆さんは、夢を実現するのは、難しいと思うでしょうか。
 もし、夢を実現するために必要なことを三つあげてくださいと言われたら、私は次の三つをあげたいと思います。
 ひとつ目は、やると覚悟を決めること。二つ目は、それを人に語ること。そして三つ目は、そのために期限を決めて行動を起こすことです。
 何も難しくはない、誰でも知っていることだと思います。
 私は、今年、厳冬期の西穂高岳で一人の高校生に出会い、この三つが大切であることを再認識しました。
 まだまだ顔に幼さが残る彼は、一人でバスを乗り継いでやってきました。その背中にはとても大きな登山用のザックを担いでいました。
 何が入っているのかと尋ねると、プロ仕様のビデオカメラの機材セットがはいっているのだと彼は言います。厳冬期の冬山で、まだまだ幼さが残る高校生が20キロ近くある機材を背負ってくること自体にとても驚きを感じました。
 その夜、山小屋で彼と話をしました。彼の夢は、映画監督であり、将来ドキュメント映画を作りたいと、一生懸命勉強をしているのだそうです。
 高校生なのに、昨年、モンブランに登頂し、映像を撮ってきたと言います。そして、今年はキリマンジャロに行くために、訓練で西穂高岳にやってきたのです。
 私は、その行動から、かなり裕福な家庭で育ち、親の強力なサポートがあるのだろうと、思っていました。しかし、彼の話をよく聞くと、彼は母一人子一人の家庭で育ち、親からの経済的な援助は、ほとんど期待できない環境にあったのです。
 遠征登山の資金は、夏は山小屋でバイトをしてお金を貯めたそうです。その山小屋のオーナーは大変厳しい人で、辛くて泣きたい時は、人前で泣くのは悔しいのでトイレで泣いたと言っていました。
 ある意味、彼の行動は、常識では計れませんが、自分の夢の実現に疑いの余地さえ無い、その純粋さは、若さが成せるワザなのかも知れません。しかし、その漲るエネルギーで、彼は夢を現実のものとするだろうと私は確信しました。彼との出会いは、久しぶりに、大きく心を揺さぶられるものでした。
 彼の純粋さと素直さ、そして夢を語り、それに向けて努力する姿に、多くの大人たちが彼をサポートし、様々な機会を与えて行くことでしょう。
 今、ここにいる皆さんは、まだ自分の夢がわからない人たちの方が多いのかも知れません。また、年齢を重ねれば自然に自分のやりたい事を見つける人もいるのだと思います。
 しかし、いち早く目標を定め、夢の実現のために一途に努力する若者に勝る人を私は知りません。
 夢は寝てみるものではありません。夢をみてください。そして、やると覚悟を決めてください。それを周りに語れば、あなたの夢をサポートしてくれるメンター(援助者)が必ず現れます。
 そして、純粋に夢の実現を信じ、行動を起こしてください。夢は、現実のものとなります。これからの皆さんの未来の可能性にエールを送り、その実現を心から信じています。
 さて、最後になりましたが、保護者の皆様、お子様の御卒業おめでとうございます。翻れば様々なことがお有りになった事と存じます。また、三年間自分の子供たちの様に、時には厳しく、そして優しく接してくださった先生方に心より御礼申し上げます。
 これからの子供達の大いなる可能性に期待を寄せ、彼らが自らの手で素晴らしい未来を切り開いて行く事をご祈念申し上げ、祝辞といたします。
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