長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

世界が驚く秩父のウイスキー

 肥土伊知郎氏の手元に残ったのは400個のウイスキー原酒の樽だけだった。
 彼の実家は、1625年創業の老舗の酒蔵だった。設備投資の負担に耐え切れず経営を人に譲った。新しい経営者から指示されたのは、事業を日本酒に特化する為、ウイスキーの原酒を処分することだった。
 彼は、『原酒を捨てることは子供を捨てることに同じ』と家業の再建より、原酒を守る事を選んだ。しかし、肥土には、ウイスキーを扱う為の免許がなかった。すなわち、それは保管すら許されない事を示していた。
 手を貸してくれたのは、福島県にある酒造メーカーだった。空いていた酒蔵を貸してくれた。実際の製造と販売はそのメーカが引き受けてくれ、彼は技術指導にまわった。
 商品化にこぎつけたモルトウイスキーは『イチローズ・モルト・1988』と名付けた。一本1万3千円のそれは全く見向きもされなかった。
 彼は、それを持って2千軒のバーを回った。同時にウイスキー蒸留所も自ら建設した。発酵槽はミズナラの木にこだわった。
 2011年10月彼の想いは結実した。『イチローズ・モルト秩父・ファースト』はリリースした7400本は予約だけで売り切れてしまったのだ。
 やり遂げるという想いと何よりも、ウイスキーを愛する気持ちが成した功績だと思う。
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