長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

ラジオ体操の達人

 徳島市の中心部にある徳島中央公園には、ラジオ塔と呼ばれる高さ5mの石でできた塔と石垣がある。毎朝6時30分になると200人もの人が集まりラジオ体操が行われる。
 その石垣の上に上がるには、ラジオ体操指導士の資格をもつ必要があり、選び抜かれた指導者が見本を示す場所として代々受け継がれてきたのだ。
 そして、ひときわ美しいフォームでセンターを務めるのは、坂田福氏(74歳)だ。彼は、雨の日も風の日も、365日休むことなく手本となってきた。
 彼は、40年以上トラックの運転手をしてきた。人付き合いが苦手で、かつては人の輪に入ることを避けてきたのだそうだ。その彼が、石垣の上に上るようになったのは6年前のこと。健康作りにと毎日欠かさずラジオ体操に通っていたところ、引退する指導者から、後を継いでほしいと頼まれたのである。
 私たちはいい加減にやっているラジオ体操だが、13の動きから出来ており、健康維持のために考えられたひとつひとつの動きは、腕の曲げ方や足の伸ばし方、さらに呼吸の回数まで決まっているのだ。
 坂田福氏にとって、ラジオ体操は、自らの健康維持のためのものから、多くの人の健康維持と、人とのつながり、そして何よりも彼の生きがいと存在価値となった。
 人は、人から必要とされていると感じた時、そこに使命感が生まれる。たかがラジオ体操と言うなかれ。ラジオ体操を通じての繋がりは、人づきあいが苦手だったひとりの人間を大きく変えたのである。
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