長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

長次郎谷から北方稜線へ


 6月4日は、春めいて来た山が寒波により一気に真冬に逆戻りした。新田次郎の小説、点の記に描かれている長次郎谷ルートは非常に厳しい様相を呈していた。
 あれから3ヶ月後の長次郎谷は別の意味で厳しい状態だった。山岳警備隊、山小屋の主人からの指導によれば、長次郎谷左股は長次郎のコル手前に大きなクラックが4本入っており、それを越えるためにはクラックをクライムダウンとアップを繰り返さねばならず、支点を構築していると時間的に厳しいとアドバイスを受けた。
 また、右股は雪渓が痩せて雪壁になっており、これをクライムアップする場合は雪渓左側の岩綾との間のクラックに沿って上昇する必要があるとのこと。
 いずれにせよ、この時期の長次郎谷は、かなり慎重に行動する必要があるようだ。
 左股か右股かは、熊ノ岩まで上昇し、判断することにする。熊ノ岩の手前で、八峰チンネから下降して来たパーティに出会い、情報を取集する。左股はかなり厳しいようなので、右股を行くことを選択する。池ノ谷乗越手前の雪壁は情報通り痩せていて、45度以上はあろうかという急傾斜となっていた。
 また、表面は氷化しており、それが約30m近く続いていた。ロープを出す判断もあったが、直登できると判断し、一気に登り切る。
 北方稜線からは剱岳頂上に向かって行くが、バリエーションルートなので目印などあるはずもない。ルートファインディングを行いながら進むが途中二ヶ所ルートミスをする。
 その中の一ヶ所は進退極まり懸垂下降の準備をしている時に回避ルートを確認でき、そこを上昇する。右股から左股までの短い距離を一時間以上も時間を要する意味が理解できる。
 長次郎のコルを過ぎれば見慣れたルートだ。十分に注意をしながら頂上を目指す。頂上には、平均年齢67歳とおっしゃられる皆さんが剱岳登頂を喜び合っていたが、こちらは目標の時間があるのでさっさと撮影を済ませ下山の途につく。
 今回の剱岳登頂は、反省すべき点がかなり多くあった。剱岳は甘くないという山岳ガイドの言葉が心に染みた。反省。。。
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