北の大地
オホーツク海から、やってくる冬の使者、流氷はとても不思議な生い立ちを持っている。
シベリアの寒気に冷やされた海面の海水は、密度が大きくなり海底に沈む。その代わり、深い部分の海水が海の表面に上昇して来ることで対流がおこる。これを繰り返すことで徐々に海面が凍ってくる。
しかし、オホーツク海は、水深が深すぎるため、この対流がおこり難い。通常なら海は凍らないのだ。
実は、この流氷の発生に大きな影響を及ぼしているのがシベリア大陸から流れ込むアムール川の水だ。オホーツク海に大量に流れ込むアムール川は、海の塩分濃度を低下させる。
海面で冷やされた海水は、重くなり海底に沈むが、塩分濃度が高い海水よりも、深く沈むことができないため、浅い海と同じように対流がおこり、海面が氷結する。これが流氷誕生のプロセスである。
実は、低い温度だけでは、海面が凍結することはなく、アムール川の存在が流氷を生み出している。大自然の大きな循環の中で、絶妙なバランスを生み、その素晴らしい景色をつくり上げる。
その雄大さは人知を遥かに超越し、私たち人間はその足元にも及ばないことを知らしめてくれるのである。
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