長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

和びさび


 お昼にたまに出かける『和びさび』という小さな和食のお店がある。
 ルネス金沢の交差点に面しているが、お店自体は少々中に入ったところにあり、通りからはあまり目立たない。20人ほどしか入れない、こじんまりとしたお店であるが、お昼時になると女性客でいっぱいになる。
 私はいつも予約して行かないので、2回に1回は入れないことが多い。目立たない所にある、こじんまりとしたお店が、何故いっぱいになるかは訪ねて見ればわかる。
 使用しているお碗やお皿などはとてもセンスが良く、女性客に言わせると『かわいい』のであろう。また、メニューには和定食、洋定食、和びさびカレー、オムライスなどがあるがどれも繊細で本当においしい。
 実は私はあまり魚が得意ではない。(新鮮なお刺身は食べるが青魚は苦手である。)和定食を注文すると、たまにおかずが魚の時がある。
 ある時『今日の和定食はお魚です。』と言われた時、『魚は苦手なんだよね。』と言うと、『ちょっと待ってください。』と言ってお店の奥で何やら話しているかと思うと『チキンの料理ならできますよ。』と言って特別にチキンソテーを作ってくれたのである。
 マニュアル通りにアルバイトが接客しているレストランではこうは行かない。私は一度にこの店のファンになってしまった。定食の値段は995円と少々お高いが1000円を支払って、おつりが5円(ご縁)と言うのも心憎い。
 
 私達は消防車のメーカーである。消防車両は『人の命を救う為に自分の命を懸ける』人たちが使う特殊車両である。
 日本は南北に長く地域の特性は大きく違う。だからこそ消防戦術(火を消す為の消火の方法)が異なる事は十分に理解しなくてはならない。であるならば消防車両は消防戦術に合わせたものをつくらなくてはならない。
 この考え方が私達独自の専用設計の思想を育んできた。この手法はお客様の要望に合わせてフレームから設計を行う為、製造台数をかせぐ事が出来ない。しかし、出来上がった車両はオーダーメイドのスーツのように仕上がり、お客様に大変、喜んで頂くことが出来る。
 消防車両は人命に係わる事案で使用されることが多い為、つくり手の都合でものづくりを行うのではなく、使い手の都合を優先させる必要があると考えている。しかし、生産効率、シェアなと経営の効率化が私達のミッション(使命)の前に来てしまうと往々にして目測を見誤る事となってしまう。
 現在、起こっている偽装事件等、企業不祥事の殆どがミッション(使命)を横に置いて経営の効率化や利益を追求した結果であろう。
 過去に『企業価値』を高めることが使命だと言った経営者がいたが、私達は『企業価値』の意味をもう一度考える必要があるのではないだろうか。
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