長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

道具に魂が宿る

 一流と言われる、職人や料理人、そしてプロのスポーツ選手たちは自分たちが使う道具をとても大切にする。
 もう、何年も前の事だが、ある料理番組で対決したアメリカ人シェフが勝ったことに喜んで、まな板の上に飛び乗ってしまったのだ。その時、対戦相手だった日本人シェフは烈火のごとく激怒した。
 食べ物を切るまな板の上に、靴で飛び乗るなど日本人の感覚では先ずはあり得ない。多分外国人にとって道具は道具でしかないのだろう。しかし、日本人は自ら使う道具を命の次に大切にする。そこには緻密で魂のこもった仕事をする為の心が見える。
 今日、私たちの工場に今年70歳を迎える、職人さんが来ていた。彼はすでに定年を迎えているが、仕事を頼むと快くやって来てくれる。70歳を迎えても、その腕はいささかも鈍っていない。
 彼は今でも1m四方の定盤をとても大切にしている。それは誰にも使わせないのだという。定番は平面度の検査や測定・組み立ての基準となる平坦面をもつ台で、これが狂うと精密に製品の組み立てが出来ない。
 現在、工場内で起こっている問題を話していると、先ずは工具の使い方や過去に定盤だったと思われる作業台を指差して、こんな体たらくでは当然ですね、と言われた。その上にはVブロックやハンマーなどが無造作に置かれていた。
 測定器具、工具等を正しく、丁寧に使う事が出来なくて良い仕事はできない。先ずは基本から・・・、基本の下に初めて高度な仕事が出来る。その指摘を受け少々ショックだったが、まさしく図星だった。ここから再スタートである。
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