長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

SNSの功罪・・山岳遭難事故

 昨今の登山ブームは、その裏で多くの山岳遭難事故を引き起こしている。
 様々なソーシャルネットワーキングサイトには、溢れるほどの登山情報が掲載され、それが山を身近にしている要因のひとつかもしれない。山は低山であるか高山であるかがその難易度にはなりえない。低くとも難しい山は難しい。
 また、その難易度は、幾つかの指針があるようだがそれも限定的であり、広く一般に周知されているわけではない。そんな中で、登山情報をソーシャルネットワーキングサイトから収集できることはある意味素晴らしい事だが、その情報をしっかりと取捨選択する事は、非常に重要だと感じる。
 特に心配なのは、槍ヶ岳の北鎌尾根や剱岳の北方稜線等のバリエーションルートを浅い登山経験であるにもかかわらず、行ってしまうことだ。
 山岳会による計画された登山やガイド登山ならまだしも、浅い経験しかないのにもかかわらず、単独でこれらのルートにアプローチするのは自殺行為だと感じるのは私だけではあるまい。
 昔のことを書けば老害と言われるが、以前は山岳会がしっかりとした登山技術、ルール、マナーを登山を通じて伝えてきたが、昨今ではうるさいと感じるのか、このあたりの仕組みがうまく機能していないように感じる。
 驚くのはソーシャルネットワーキングサイトで知り合った人と初めて出会って山に行くという感覚である。私たちは、山に行くという事はお互いに責任を持つ事に他ならないと教わった。リーダーはパーティに責任を持ち、同時に行動する事が強く求められた。
 しかし、昨今ではばらばらに行動し、今日、出会ってパーティを組み一緒に登山した人とはぐれても知らない、といったことまで起こっているようだ。
 また、状況判断にもよるが、風雨の強い日に剱岳を登ったという投稿も見かける。これはある意味で勘違いを生み、山岳遭難のきっかけになりえると思う。
 たまたま、何もなかったのである。それを見て私も行けるとは思わない事だ。
 仕事柄、山岳救助に携わる方々から話を聞く機会があるが、救助する側も命がけなのだ。登山は自己責任といわれるが、いったん事故を起こせば多くの人たちが命を懸け救助に当たる事実がある。
 そう考えれば決して自己責任では済まないのだ。
 登山はとてもすばらしい体験を私たちに与えてくれる。自分の技量を十分に見極め安全に登山を楽しみたいものである。
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