長野幸浩の日記『We Believe』

思いついたことを気楽に

残すべき技術


 長野ポンプでは、消防車用リヤフェンダーの製造は完全なるハンドメイドで行う。
 完全なるというのは、機械を使わずすべて手作業で行うからだ。このリヤフェンダーは現在ではプレスなどで製造する事が出来る。
 コストと効率という角度から見ると、決して良いとは言えない。
 しかし、私たちがあえてこの技術を手作業で継承しているのは、無くしてしまえばもう二度と戻ってこないからだ。この叩いて造形するという技術は、単にフェンダーを造形するだけではなく、様々な気づきを与えてくれるのだ。
 今から30年前ポルシェの工場を見学した時、最終工程で小さなハンマーを持った職人が、車体の表面のひずみを手で感じて、修正していたことを思い出す。今ではそんなことは行ってはいないのだろうが、機械で修正できない小さな歪を手で修正するシーンが頭に焼き付いている。
 『最後は彼らの手に掛かったものだけがポルシェになります。』という言葉に感動したことを思い出す。
 部分的に見れば非効率でも、大局観で見れば、様々な技術のベースになっていることも確かである。残すべき技術と効率を追い求め変えていく技術を見極め、その目的を明確にしていかなければ、この様な技術は消滅してしまう。
 一度無くなったものを取り戻すことは容易ではない。
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